訴訟概要 (Summary)

問題の概要

片方の親が、他方の親の同意を得ずに、子の居住地を変えることを「連れ去り」と呼びます。
多くの場合連れ去った親は、子を他方の親に会わせようとしません。この場合裁判所の調停・審判によって会うことを求めることはできますが、最低でも半年は子と会えません。数年全く会えない親子も珍しくありません。裁判所の許可無く会いに行けば、警察を呼ばれたりその後の調停,裁判で不利になることがあります。親子が会いたいというのはとても自然な気持ちであり人の権利であるにも関わらずです。
はじめの「連れ去り」に対して裁判所は何も罰則を科すことは無い一方、連れ去られた子を元の居住地に戻すことは許可しません。また日本は離婚後は単独親権ですが、離婚前に子を直接監護していた側に親権を与える継続性の原則を採用しているため、親権目的で連れ去ることも行われます。離婚弁護士が助言していることも多々あります。離婚弁護士は日本の司法がこのような運用をしていることを熟知しており、先に連れ去ることを推奨します。
裁判所の審判では、最大でも月1回数時間しか、親子が会うことを許可しません。婚姻中は両方の親に子の監護権がありますが、実質的に養育することができなくなります。
この問題はDV問題と並べて話されることがありますが、DVを行うごく一部の者がいることは、その他大勢の健全な親子が会うことを阻害する理由にはなりません。DVから逃げること、DV問題を解決することは十分に考慮されるべきです。
子ども側の立場で、親と会えずつらい思いをした方もいます。パパママと言葉を覚える前に連れ去られた子も多くいます。一方の親の都合だけで、子と他方の親の触れ合いを強制的に奪ってしまう「連れ去り」行為は、法律で防止されるべきではないでしょうか。

国際条約

日本は以下の国際条約に批准しておきながら、連れ去り行為を防止していません。連れ去りは監護権の侵害を伴う行為であり、父母の一方の意思に反して子とその父母を分離する行為そのものです。
しかしながら現在の日本の司法では、これらは遵守されていません。
日本国憲法第九十八条2「日本国が締結した条約及び確立された国際法規は、これを誠実に遵守することを必要とする」に反しています。

ハーグ条約(国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約)

  • 日本では2013年条約の締結が承認され、実施に関する法律が成立
  • 監護権の侵害を伴う国境を越えた子の連れ去り等は子の利益に反するとし、原則として子を元の居住国へ返還することを義務付けている
  • 親子の面会交流の機会を確保することは,不法な連れ去りや留置の防止や子の利益につながると考えられることから,親子が面会交流できる機会を得られるよう支援を求めている

児童の権利条約

  • 日本は1994年に批准
  • 第9条1 児童がその父母の意思に反してその父母から分離されないことを確保する
  • 第9条3 父母の一方又は双方から分離されている児童が定期的に父母のいずれとも人的な関係及び直接の接触を維持する権利を尊重する

訴訟概要

訴訟概要説明につきましては、訴状公開時に合わせて行う予定です。

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